中期更新世(77万4000年前〜12万9000年前)という時代をチバニアンと呼ぶことが2020年1月に決まりました。
日本の地名が地質年代の名称になるのは初めてのこと。
また地質年代の境目を表す代表的な模式地(GSSP)が千葉セクションに設置されることに。
その承認の立役者、茨城大学の岡田誠教授が執筆された「チバニアン誕生」を拝読しました。
最初に大事なコトを。
対象年齢は小学5年生以上とのアナウンスでしたが、ルビが多くふられているので、低学年でも興味があれば読みこなせる児童もいるかと思います。
さて本編。
地球の気候変動のダイナミズムや地層がいかにしてできていくか、そしてそこに残される地磁気の記憶とはどういったものなのか、さらに日本の千葉県市原市にある千葉セクションと呼ばれる露頭が国際的にどれだけ大切なものを記録しているのか……。それらが順を追って解き明かされていきます。
中ほどでは岡田教授がどのようにして地質学の道へ進んだのかなどのストーリーが語られていたり、たくさんのコラムが散りばめられていたりと、興味を引く内容が盛りだくさんです。
まずは最初から順を追って読むのもいいと思います。
コラムは飛ばして、まずは本編を一通り。
ただ、ちらっと途中から読み始めてもいいかもしれません。
14ページには読み方ガイドもあります。
それで興味をもったらそこであらためてはじめから読み進める……。
そうすると研究の目的や手法などの繋がりが見えてくると思います。
そして時代を超えた研究者の繋がりも……。
たくさんの研究が長い時代を通して積み重ねられ、繋がり、時にさらに新しい調査・研究を生み、それらがまた繋がり、大きな結果へと結びついて行く……そんな様子が描かれています。
チバニアン、その認定を得るための論文には、地質学の様々な研究手法による調査結果が組み入れられており、その論理的思考によるデータ収集というスタイルもひとつのみどころでしょう。
あ、そうそう。
19ページと20ページに出てくる小さすぎて字が細かくて読む気をなくす「国際年代層序表」は巻頭カラーの⑭-⑮ページに出てくるのでそちらとペラペラしながら比べるとわかりやすいですよ。
最初は難しいかもしれません。でも用語や調査・測定の意味が少しずつわかってくることで、楽しめ、理解が進む一冊だと思います。
夏休みの読書にもオススメ。
そして千葉セクション、新型コロナ禍でなかなか長距離の移動は難しいところもあるかもですが、どこかのタイミングで見学に行けるとより一層楽しめると思います。
ということで、次はA4くらいで図版がカラフルなバージョンにも期待したいです。
市原市にある千葉セクション(チバニアンの時代を刻んだ地層)現地で眺めながらのガイドにもなるようなバージョンが欲しいですね。
アレ、そういえばチバニアンという名前になった理由って書かれていましたっけ?
もう一度読んで、探してみようっと。
Norio Furuching Furukawa
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